自分の母親を見て「顔はそっくりだが、中身は別人の偽物だ」と信じ込んでしまう不思議な症状です。顔を見る機能と、感情を感じる機能の連携が壊れることで起こります。

カプラス症候群は、視力の問題ではなく、脳が「感情」を処理する際のバグによって起こる非常に珍しい心の病です。
通常、愛する人を見ると、脳は「顔を認識する道」と「親しみを感じる道」の両方を同時に使います。カプラス症候群では、顔は見えているのに、感情のスイッチが入りません。その結果、「顔はそっくりなのに、大好きだという気持ちが湧いてこない。だから、この人は偽物に違いない!」と脳が誤った結論を出してしまうのです。
面白いことに、この症状は「視覚」だけで起こることが多いです。電話で声だけを聴くと、感情のルートが正しくつながり、相手を本物だと認識できるケースがあります。
カプラス症候群は、私たちが目だけで人を見ているのではなく、心で人を見ていることを証明しています。感情の輝きが失われると、どんなに親しい顔も怪しい他人に変わってしまうのです。