角膜は透明な窓のようなもので、血液の代わりに空気から直接酸素を取り込んでいます。血液系とつながっていないため、移植しても拒絶反応が起きにくいという特徴があります。

体中に何万キロもの血管が張り巡らされている中で、角膜だけは血管がまったくない「無血地帯」です。目の表面にあるこの透明な層は、生きるために非常に特殊な方法をとっています。
血液には赤い細胞がたくさん含まれていますが、これらは光を通しません。もし角膜に血管があったら、視界は真っ赤に濁ってしまいます。透明度を保つために、角膜は血管を持たない**「無血管組織」**として進化しました。
血液から酸素をもらえない代わりに、角膜は外の空気から直接酸素を取り込んでいます。酸素は涙に溶け込み、そこから角膜へと吸収されます。栄養は、目の内側にある「眼房水」という透明な液体から補給しています。
血管が通っていないため、角膜は「免疫特権」を持っています。通常の臓器移植では、血液中の免疫細胞が異物を攻撃しますが、角膜にはその「道路(血管)」がないため、拒絶反応が起きにくく、移植の成功率が非常に高いのです。
角膜は生物学的な傑作です。血液に頼らず空気を吸うことで、ガラスのような透明度を維持している「生きた組織」なのです。